『システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ』を読んで

 

はじめに

初めまして!
今年5月にFLINTERS BASEに入社し、現在絶賛研修中の藤原です。

突然ですが、皆様がいま関わっているプロジェクト(以下:PJ)は燃えているでしょうか……?
システム開発PJの6〜7割は予定通りに終了しない、という話をよく耳にします。
企業IT動向調査報告書 2023によると、2022年度に100人月未満のPJが予定通り完了した割合は、全体の32.4%とのこと!)
PJが失敗する原因は多岐にわたるかと思います。要件の抜け漏れ、エンジニアへの丸投げ、マネジメントの問題、関係者内外の知識不足、コミュニケーション不足......etc 胃が痛くなりそうですね。

そこで今回は、システム開発PJを炎上させないための『システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ(著:白川 克、濵本 佳史)』という本について紹介いたします!

本記事はFLINTERS BASEブログ祭りの記事となります。
テーマは #システム開発 #読書メモ #技術書 です。

本書のターゲット層

タイトルは「エンジニアではないあなたへ」となっていますが......システム開発PJが失敗する主な原因や具体的な施策、PJの進め方について詳細に書かれており、エンジニア・非エンジニア問わず、システムに関わる全ての方がターゲットになると思います。

本書の内容

本書では、以下のシステム開発PJの各工程で、具体的に何をすればいいのか、どういう思考で進めればいいのか、実際にその工程で活用できるフォーマットなどについて詳細に書かれています。

  1. ゴールの明確化
  2. 現場調査/分析
  3. 構想策定
  4. 要求定義/要件定義
  5. 製品選定/ベンダ選定
  6. プロトタイプ検証
  7. 設計/開発
  8. 稼働

各工程について

各工程について、どのようなことを行うのかを本書の内容に沿って簡単に整理します。

ゴールの明確化

メンバー間で意識を合わせ、全員が納得するPJのゴールを定めます。ゴールを明確化することで、以降のフェーズを効率的に行うことができます。ゴールが曖昧だと、際限のない調査や要件が出てくる危険性があります。

現場調査/分析

現時点での業務やシステムがどのようになっているかを調査・分析します。PJとして解決すべき課題の明確化や、今後の将来像を描く際の土台となります。

構想策定

業務の将来像を明確化し、将来像に到達するための施策を練り、施策群をまとめてPJの基本計画を立案します。目指す業務が曖昧だと、システム構築も迷走する恐れがあります。

要求定義/要件定義

システムへの要望を抽出・整理・文書化します。この工程に抜け漏れがあると、以降の工程で大きな手戻りが発生します。著者もこの工程が最も重要だとしています。

製品選定/ベンダー選定

必要なシステムを実現してくれるパッケージ・ソリューションと、それを提供できるITベンダーを選びます。ここを精査しないと、システム開発中や運用保守に至るまで長年にわたるトラブルを招きやすくなります。

プロトタイプ検証

業務の将来像を、システムのプロトタイプでシミュレーションします。プロトタイプで検証することで、潜在的な課題が発見できます。

設計/開発

設計書の作成、プログラムの作成やパッケージソフトの設定を行います。基本的に作る側の人がメインとなりますが、作らせる側がしっかりと関与することで、各工程の節目での成果物レビューや意思決定などがスムーズに進みます。

稼働

新システムの導入、旧システムや旧業務からの切り替え作業を行います。稼働後に想定通りの成果を本当にあげているかもチェックして、不満や課題などを潰していきます。

まとめ

本書を読むことで、システム開発の全体像を把握し、各工程に対する理解を深め、実際のPJに活かせる具体的な手法を体系的に学ぶことができました。他社の具体的な失敗例や成功例も交えて書かれているので、そういった事例も知ることができて興味深かったです。
また、単なる手順や方法論だけではなく、それらの背後にある考え方についても知ることもできました。例えば、システム開発において「なぜ(Why)」⇒「どのように(How)」⇒「なにを(What)」の順序で考えることが成功の鍵だとされています。システムやソリューションありきではなく、なぜ行うのか、なぜ必要なのかを考えることが成功の第一歩だと感じました。

繰り返しになりますが、本書はシステム開発に携わるすべての方に一読をお勧めいたします!
この世から、炎上PJが一つでもなくなりますように……